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神様の御用人

つい先日、『神様の御用人』の10巻が発売されたんですにゃ✨(*´ω`)

普段マリカブログと化しておりますが、たまにはやっぱりこう、私の目で見て、聞いて感じて。溢れてきた言葉を形にしたい。そう思ったので、たまには書こう。日本の国におられる数多の八百万の神様へ、感謝を込めて。

神様の御用人

神様の御用人』は、メディアワークス文庫より浅葉なつさんが書かれている小説のことです。一部、コミックなんかにもなってたはず。簡単にあらすじを書きましょう🎵

神である私にとって、人というものは、

雲間から降りしきる雨粒か、季節に散りゆく木々の葉か、

それとも過ぎ行くそよ風のような存在であるが、

私の長すぎる記憶の中に、

一点の鮮やかな彩を残した彼の話を、戯れに書き残しておこう。

いつか私の鱗が色褪せる頃まで

この物語が受け継がれ、明日の人の子へ手渡されるなら

それもまた儚き世の一興である。

 

夢破れフリーターとなった萩原良彦は、ある日の帰宅中、道でうずくまって苦しんでいた老人を助け「宣之言書(のりごとしょ)」を授かったことをきっかけに"神様の御用人"の役目を命じられてしまった。最初の御用聞きで出会った狐神の黄金と共に日本各地に住まう八百万の神々の御用聞きが幕を開ける! 

神と人と

私たちは、技術の革新に伴い様々な英知を生み出した。一方でそのことが、かつていにしえの祖なる人々が持っていた「信仰心」であったり、「神との係わりや伝統」というものを疎かにした。神の怒りだと恐れられた地震は、地殻変動による自然現象だとわかっているし、偽りの神を語る幾多の不届き者が、神の名を語って権力やお金の欲の溺れ、破滅してきた。いにしえの人々は、人間の営みに大いなる存在の助けがあることを知っていたし、神と人は決して相容れず、共に在ることはできないものの、かけがえのない絆があることを知っていた。

神様の御用人という作品は、こうした今を生きる私達が忘れてきた多くのことを救い上げ、コミカルでありつつも過去と、今と、未来を紡いでいく物語である、と10巻を読んで確信した。私達の生きる国、日本が先進国の経済大国と呼ばれるまでの仮定にあったであろう、たくさんの神々のお話がこの作品には込められている。中には綺麗事ではない、戦乱のお話や深い後悔や悲しみに捕らわれた物語もあるけれど、そのひとつひとつを読み終えて改めて感じたのは、神の存在でした。

 神様という概念

神様という言葉を聞き、なにかの宗教を信仰していない方、もしくは宗教学に知識がない方は、たぶん真っ先にあやしい新興宗教のことがよぎるのではないかと思う。これは至極真っ当な反応です。悪戯に神を語って悪いことをする人が多すぎます😱

そういった話はいったん置いておくとして、では神様とはいったい何者なんだろう? よく言われるように天高き空の向こうの世界にいて、私たちを見守っているのでしょうか? 「神様っているの?」って聞かれた時、私たちはどう答えるべきなのか。

このことについて私は、「神という存在そのものについて、実体としてではなく概念として「神」という存在が必要だ」と教わりました。実在するかしないかという議論は、本質を射ていない、と。私たちが技術や科学の進歩に自惚れる一方で、私たちのロジックを持ってしても理解の及ばない出来事(奇跡)や、どれほどの英知を持ってしても解明できない世界の神秘が至る所にあります。世界には私たちの知らない、知りえない数多くの奇跡で満ち溢れており、その”解明できない”すべての部分がいわば、神の領域であり、神そのものなのだと。

神様は天の世界にいて、私たちの営みを見守っているわけでも、支配しているわけでもない。また、私たちが困ったときに都合よく助けてくれる存在でもない。だからといって、何もしてくれないわけではない。私たちの何気ない毎日の中に起こる小さな奇跡や、不思議なよい縁と巡り合った時、そういう何気ない出来事の中に人ならざるものの力を感じたとき、そこに神様はおられるのだと。私たちはどうしても弱い存在だから、そういう自身の理解や力を遥かに超越した大いなる存在がいることを、時々思い返して原点に立ち返らないといけないんだと。世界の多様な関係性のなかで、相互に作用し合い、生かされているという意識を思い出すために。

この作品の魅力

けれども実際にじゃあそういう日本神話にまつわる本。古事記日本書紀などを読もうと思ったら、たぶんほとんどの人は卒倒してしまうでしょう。笑 こういう古い本は翻訳がいくつもあったりするし、文体も今と違う表現や言葉が使われ、読み解くのに大変苦労するものです。つまり気軽に読めるものではない。笑

そこでこの『神様の御用人』という作品に魅力と意義が生まれます。 浅葉なつさんの作品は個人的に好きでよく読んでいるのですが、この難解な神様のお話を浅葉なつさんの暖かい文才を持って、コミカルにかつ明るく楽しい物語として楽しむことができるのです。神様の由来を上手に作品に盛り込み、祀られている神社などを舞台に描かれる良彦の御用人劇を通して、日本に八百万とおられる神様のことを知りつつ、暖かい物語に心を動かされました。

特に好きなエピソードは、泣沢女神の「彼女の涙」(2巻収録)。穂乃香との関りがなんか好きです。御用の内容も含めまして。あとは7巻丸々を使って描かれた月読命の物語「瑠璃の満月」。ネタバレになってしまうので多くは書けないのですが...、過ち、後悔するのは人間だけではないのですね。御用人の良彦を通して、未来への方向性が見いだせた終わり方は好きでした。そして何より外せない「黄金編」(9~10巻)。1巻の出会いからずっと身近にいて、ツンツンしつつも良彦や穂乃香との関りを通じて、時々御用の手助けをしてくれていた狐神の黄金。その正体にまつわるお話を持って、一旦は完結となるそうです。黄金編のエピソードは特に神と人との関りを感じつつも深く悲しくもあり、それでいて読み終えたときに爽やかな読了感が私を待っていました。なかなか長編なので、ここまでたどり着くのは大変だと思いますが、すべてのエピソードを読み終えてから、この黄金編の9~10巻を読み終えたなら。私の書いているこの言葉の意味がわかるだろう、と思います。

1巻が発売された時、当時は特にメディアワークス文庫の本が好きでした。浅葉なつさんのことは『山が私を呼んでいる!』と『サクラの音が聞こえる』を読んで知っていて、文体も好きだったので「あ!! 浅葉さんの新作じゃん!!」と手に取ったことを今でも覚えています。あれから気が付けば2巻、3巻と順調にシリーズ化を果たし、いつしか『神様の御用人』の新刊を待ちわびるようになりました。何気なく手に取った物語を気が付けば7年も追いかけていて、その作品の結びに立ち会うことができたことは、終わってしまって悲しい気持ちもあるものの、それ以上になんか嬉しく、誇らしく思います。(不思議な感情です笑)

この作品と出会えて、私は多くのことを学べたし、身近にあるささやかな幸せに気が付き、感謝できるようになった気がする。年の瀬には大年神様が来てたのかなとか、街中でふと鎮座する神社に「この神社にも日本の何かに関わる神様が祀られているんだ」とわかるようになりました。この作品に出会えてよかったなぁと心から思います。

浅葉なつさん、素晴らしい作品をありがとうございました✨ お疲れ様でした!!

語り部

この世には数多の本が溢れているが、

その中でも私の心の中にひときわ輝きを残した

あるひとつの物語について書き残しておこう。

私の声が、想いが。

電子の大海原のなかの何でもない小波のひとつにすぎなかったとしても。

神を想い、人を想い、日本を想い、そこから溢れ紡いだ言葉の何かが、

ほんのわずかでも、遠い未来の何かを伴って、よい流れを生むのなら。

それもまた、儚き世の一興である。